Urban Design & Engineering

学科概要

社会経済情勢、環境問題、災害対策、国際化などにより、都市のあるべき姿は常に変化してきました。都市固有の歴史と文化を継承・発展させつつ、環境への負荷を低減し、人間活動と自然環境が調和した、豊かでかつ災害などの外的インパクトにも強く柔軟に対応できる、安全・安心で機能的な都市、すなわち「持続可能な都市」の実現が強く求められています。
このような持続可能都市の実現には、(1)都市の機能と構造を理解するための基礎科学力と、(2)これからの都市に求められる様々な要素を見極めるための多様な知識を有し、(3)科学的根拠を基に都市が抱える課題を読み解くとともに、(4)説得力のある解決策を提案し、(5)それを実現するためのコミュニケーション能力と順応性を有するプランナーとエンジニアの養成が重要であることから、本学科では「持続的可能な都市」の実現に資する人材を養成します。

都市学科の対象

都市学科の教育・研究は、私たちが暮らす都市のあらゆるものが対象です。

都市科学の研究

都市学科には10の研究分野があり、各分野における高い研究成果が教育現場にも直接フィードバックされています。 4年次には、これらの中から専門性を極めたい研究分野に所属し、大学院生や研究者と交流しながら課題に取り組みます。

都市デザイン

都市基盤計画

自転車利用者の視認特性に基づいた通行環境の評価

都市の様々な社会基盤施設の計画とその評価に関わる研究分野です。近年は特に、高齢化や地球環境問題などの新たな課題に対応した安全で安心な都市づくり、さらに魅力ある街に貢献できるような歩行者支援など、実態調査に基づいた基礎的・実用的研究を行っています。【写真】自転車利用者の視認特性に基づいた通行環境の評価

環境都市計画

橋の上でのオープンカフェを実施した社会実験

都市は建物や道路などで構成される空間はもちろん、住民、事業者、行政と多くの主体の営みがあります。人や空間、仕組みの関係を整理し、生態学・経済学・地理学・行政学などの幅広い分野と連携して、人々がいきいきと暮らすことができる魅力的な都市・地域の計画・デザインの研究を行っています。【写真】橋の上でのオープンカフェを実施した社会実験

空間情報学

逆探索による直方凸領域の列挙

自然災害や環境変化に強い持続可能都市を実現するためにさまざまな空間情報をGIS(地理情報システム)やリモートセンシングなどの空間情報技術を用いて都市を多面的に分析します。都市を地下の地質・地盤から地形、さらにはその上の環境や人間活動圏を含めた3次元空間として捉え、それらの空間情報を収集・解析・可視化し、都市の空間計画や基盤計画につなげていく研究をおこないます。【図】標高測量点から作成したハノイ市(ベトナム)の高精度DEM(下)のGISによる3次元可視化例

環境創生

地域環境計画

緑陰の暑熱環境緩和効果の計測

都市域の快適性に関わる物理的環境の把握と計画を目的としています。都市の環境要素である温湿度・風・光・音などの成立を理解し、環境心理・生理面も考慮しながら快適環境を構築する技術、熱環境の改善策やエネルギーの有効利用などの効果的な環境調整技術に関する研究を行っています。【写真】緑陰の暑熱環境緩和効果の計測

都市リサイクル工学

焼却工場と下水処理場の連携によるエネルギー創出

都市では多くの資源が消費され、汚水やごみの問題を引き起こしています。資源浪費型の都市を資源循環型・低炭素型都市へと変えていくために、都市資源のリサイクル技術を研究しています。【図】焼却工場と下水処理場の連携によるエネルギー創出

環境水域工学

人工干潟における生態系調査

川や海は、人々に自然の恵みや心のうるおい・安らぎを与えてくれる貴重な公共財産です。本分野では都市域に隣接する川や海などの健全性の保全・修復に必要不可欠な水環境モニタリングや物質循環機構の解明、水域生態系機能の評価などについての研究を行っています。【写真】人工干潟における生態系調査

環境創生の研究分野へは、こちら≫をご覧ください。

安全防災

構造及びコンクリート工学

鋼とコンクリートから成る複合道路橋

コンクリートを中心とした各種構造物の力学特性の明らかにし、様々な実構造物への適用を目指しています。そのために、様々な実験やコンピューターによる数値解析を通じて、構造物の変形や破壊メカニズムの解明を行っています。【写真】鋼とコンクリートから成る複合道路橋

応用構造工学

建築中の橋の様子

水都大阪には八百八橋と称されるほど多くの橋があります。本分野では、主に新しい橋の設計・建設、さらにはこれまでに建設された多様な橋の維持管理に必要とされる技術を、模型実験やシミュレーションを駆使して研究しています。【写真】建築中の橋の様子

地盤工学

液状化によるマンホールの浮上

土、岩、水からなる地盤の工学的諸問題を扱う学問と技術の分野です。どんな素晴らしい構造物も支える地盤が安定していないと構造物は存続できません。地盤の性状を把握することは必須です。砂地盤の液状化問題、粘土地盤の沈下問題、斜面安定問題、地下水・地盤環境問題などを研究しています。【写真】液状化によるマンホールの浮上

河海工学

鋼とコンクリートから成る複合道路橋

都市の成り立ちは海や河川、湖などの水辺と深く結びついています。水辺は漁場や娯楽などの場を提供し、波浪エネルギーの緩和・自然浄化・気候調節などの機能もあります。一方、水災害リスクも高く、防災機能の整備が必要です。これらを適切に評価し、合理的な都市のあり方を研究しています。【写真】効果的な沿岸波力発電システムの提案

安全防災の研究分野へは、こちら≫をご覧ください。

アドミッションポリシー

社会経済情勢、環境問題、災害対策、国際化などにより都市のあるべき姿は常に変化してきた。都市固有の歴史と文化を継承・発展させつつ、環境への負荷を低減し、人間活動と自然環境が調和した、豊かでかつ災害などの外的インパクトにも強く柔軟に対応できる、安全・安心で機能的な都市、すなわち「持続可能都市」の実現が強く求められている。
都市学科では、この持続可能都市を探求し、またその構築および維持管理に係る技術について学び、それらの最先端課題について研究する。都市学科の教育研究対象は、人間社会の介在する公共空間であり、恵みと破壊をもたらす自然現象でもある。また、その課題は地域性とともに普遍性を有し、その現象は微生物スケールから地球規模のスケールにいたるまで大きな幅がある。そのため、都市学科では工学部のアドミッション・ポリシーに加えて、次のような学生を求める。